地球の始まりのかたち
アフリカの大地には、地球の記憶がそのまま息づいています。南部のカラハリクラトンには、約30億年前の片麻岩や緑色岩が露出し、これは地球最古級の岩石のひとつ。こうした石は、プレートが動く遥か以前の、まだ大陸が形成され始めたころの地殻の名残でもあります。
一方、東アフリカのリフトバレー(大地溝帯)は、今まさに大地が裂けつつある場所。ここでは、火山活動によって生まれた玄武岩やトラカイトが、未来の大陸の輪郭を暗示するかのように広がっています。北部やサハラ地帯では、風と時間に削られた鉄分を多く含む赤い砂岩が、まるで化石のように乾いた空気の中に静かに佇んでいます。
石の中には、鉄、マンガン、クロムなど、地球の核に近い層で生成される鉱物が多く含まれていて、その色合いや重みがアフリカの「深さ」を物語ります。ただそこにあるだけで、地球の成り立ちに触れているような──そんな不思議な感覚を呼び起こすのが、アフリカの石の魅力です。