自然と文化が交差する大地の記憶
ヨーロッパの地層には、太古の海が残した石灰岩、氷河が削り出した花崗岩、火山の名残をとどめる玄武岩など、多様な岩石が幾重にも重なっています。イギリスのジュラシック・コーストでは化石を含む堆積岩が潮風にさらされ、スカンジナビアでは、氷河の力で露出した結晶片岩や変成岩が、山や森の中に静かに佇んでいます。
こうした石には、カルサイト、石英、雲母などの鉱物が含まれ、色も質感も場所ごとに異なります。そしてその多くが、古くから街並みや建築に使われ、人の暮らしとともに風化し、景観の一部となってきました。